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リュカの日記
by リュカ
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上が白く塗られたお箸と、上が黒く塗られたお箸を1本ずつ渡された。
2本は長さが違ってた。
黒か白、どっちかが長くて、それはみんな共通していた。
この長さの違いにも、何か意味があるのだろう。
母方の祖父は「わしはええわ」と言って、お箸を元の場所に戻してた。
それから、親父のお棺を乗せてた床がスライドして親父の遺骨が出てきた。
親父の遺骨は真っ平らになっていた。
俺は心の中で「こんな姿になっちまって・・・」とつぶやいた。
母親は目をハンカチで拭ってた。
足、腰、お腹、胸、肩、顔とそれぞれ鉄のラインで部位が区切られていた。
大きい骨壺と小さい骨壺が用意されてた。
焼いた骨の匂いが立ち込めていた。
でも、思ってたほど臭くない。
俺が小2の頃に他界した父方の祖父のお骨は、もっと臭かった記憶があったけど。
それから、火葬場の人が母親に「喪主の方にやってもらいます。これが喉仏のお骨になります。小さい方に収めてください」と言い、母親は言われた通りにしていた。
「これが頭の骨になります。こちらの骨で蓋をしてください」と言い、母親は言われた通りに。
それから、今度は大きい骨壺に骨を収めて行く事になった。
「こちらが足の指の骨になります。こちらが目の周りの骨になります。こちらがひざの皿の骨になります。こちらが耳の部分の骨になります。こちらが歯になります。こちらが上あごになります。こちらが下あごになります」と1個1個丁寧に説明された。
「みなさま、足の方から順番にお骨をお収めください。骨壺が7割くらいまで埋まったところで、止めてください。蓋が出来なくなるので」と言われ、みんなで足から順に骨壺に骨を収めていく。
俺はつい大きい骨を入れてしまって、弟に「こんな大きいの入れたら、後が収められなくなるやんw」と言われた。
俺が収めた大きい骨は、それはそれで、そのまま収める事になったんだけど。
祖父は無言で、遺骨の傍から離れて行った。
祖父一人だけが骨を収める作業に参加しなかった。
昔の奥さん、俺の母親のお母さんの死が未だにトラウマになってるんだろうな。
骨壺が7割くらいまで埋まり、最後は顔や頭の骨で蓋をする事になった。
最後も母親が蓋をしたと思う。
火葬場の人が「残りの骨は〜霊園の方にきちんと埋葬させてもらうので、安心してください」と。
みんながぞろぞろと火葬場を出て行き、母親が「これ、時計やわ。焼け残ってる。□□さん(親父の名前)に時計付けさせたまま忘れとったわ・・・」と。
俺が以前神戸の実家に行った時に、親父の為に実家から取ってきた親父のお気に入りのRADOの時計だ。
腕の骨の周りにハマってた。
このままだと処分されてしまう。
弟が「お兄ちゃん、これ持って帰りや」と言い、俺は「そうするわ」と。
親父の左腕の骨から腕時計を抜き取り、弟が出してくれたハンカチと、弟の奥さんの△△さんが出してくれたハンカチで時計の燃え残りを挟んだ。
俺は「遺品入れとか無いかな。もらえるんかな」と言い、弟は「あるかもしれへんな」と。
バスの中でハンカチで挟んだ時計を触ってみたけど、少し熱かった。
俺は時計の匂いを嗅いだ。
親父の骨の匂いがするかもしれないから。
少し、花の匂いがする気がした。
親父のお棺、花だらけになってたもんな。
俺は「この時計、花の匂いがせえへん?」と弟に言い、弟は「これ、△△のハンカチの匂いちゃうかな?△△のハンカチ、香水付いてたかもしれへんし」と。
それから葬儀場にまた戻ってきた。
俺が職員の人に「父の時計が燃え残ってたんですよ。遺品入れありますか?」と言うと「骨壺でいいですか?」と言い、小さい方の骨壺をまた新しく出してもらって、その骨壺に入れる事になった。
ちゃんと布みたいなカバーもしてくれて。
会場に戻る。
祭壇に、親父の小さい骨壺と大きい骨壺が置かれてて、弟が「これも一緒に拝んでもらおう」と言い、祭壇の左端に置かせてもらった。
お坊さんが来て、お経を唱える。
説教もあったな。
お坊さんのお経と説教が終わり、「これにて式は全て終わりとなります」と。

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02月25日(火)
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