ID:14142
リュカの日記
by リュカ
[567434hit]
■
俺はやる事が無くなったので、タバコを吸ったりジュースを飲んだりして、離れた席から弟たちを眺めてた。
葬儀場の職員の人たちがやってきて、打ち合わせみたいな物が始まる。
俺はよく分からなかったので、蚊帳の外みたいに眺めてた。
しばらくして、親戚たちが「おはよう」と言って入ってきた。
それから午後12時過ぎになり、親父を火葬場に連れて行く事になった。
会場の方に行って、母親が挨拶をして、弟が前日にしたのと同じような、親父が死ぬまでの経緯を説明するスピーチを行った。
弟はところどころで泣きそうになっていた。
俺は泣かなかったな。
昨日、一昨日と泣いてきたので、もう泣き飽きたのだろうか。
みんなで、献花をする事になった。
お棺の蓋が開けられた。
これが、親父に触れる本当に本当の最後の機会。
俺はまたまたペタペタ顔を触って行った。
親父のお棺にみんなで花を入れていく。
折り紙の鶴ややっこさんも入れた。
お酒も親父の顔にかからないように、母親が親父の顔の周りの部分に注いで行った。
俺も、「親父、あの世で沢山飲みや」と言いながら注いで行った。
そのちょっと前、俺の苦手な親父の昔の勤め先の元上司のSさんが、弟に「これも注いでやって」みたいに手のひらサイズのお酒を渡していたので、そのお酒も注ぐ事になった。
弟が自分の指先にお酒を付けて、それを親父の上唇と下唇にチョコン、チョコンと付けていた。
俺は「昨日やってたみたいな事を、またしたんやw」と言い、弟は「そうやなw」と。
母親が「私の指にもちょうだい」と言い、弟が母親の指にお酒を垂らし、母親も親父の唇に付けていた。
俺も「俺も欲しい」と言い、同じように親父の上唇と下唇にお酒をチョン、チョンと付けた。
親父の唇は相変わらず柔らかい。
焼香みたいな物をして、お坊さんのお経と説教が終わった後、会場から男性陣が(もちろん俺も)親父の棺桶を持ち上げて、そのまま運んで葬儀場の地下に行った。
地下には霊柩車がスタンバイしていた。
霊柩車と言っても、木製のゴツゴツしたのが付いてるような古いタイプの霊柩車じゃなく、黒くて細長い車だった。
普通の車に見えたけど。
霊柩車はクラクションを鳴らす物だと思っていたけど、鳴らさなかったな。
俺は、さっき親父の唇に触れた指を舐めてみた。
親父のほっぺにチューは出来なかったから、間接キスだけしておいた。
それから俺たちは霊柩車の後を追って、バスで火葬場に向かった。
どんどん坂を上ってく。
凄い坂道だった。
火葬場に到着。
俺が「クラクション鳴らさないんですか?」と言うと、火葬場の人は「近隣住民が居ますので、クラクションは鳴らしません」と。
俺は母親に「葬儀場出る時も、クラクション鳴らさへんかったやんな?」と言い、母親は「覚えてないわ・・・」と。
それからみんなで、親父の棺を火葬場の引き出しみたいなところにセットした。
そこでまた焼香をして、お坊さんが「お願いします」と言い、親父の棺はスライドする床?で火葬をする為のスポットに引き込まれて行った。
それから、またバスで葬儀場に戻った。
みんなで控室に行く。
今から昼ごはんらしい。
天ぷらやら刺身やらごちそうが出た。
めっちゃ美味しかった。
親戚たちと、親父について色々話した。
午後15時05分になり、またバスで火葬場に向かう事になった。
母親が「あんた、これ持って」と言うので、俺は親父の遺影を抱えてバスに乗った。
母親に「親父、もう骨になってしまったかな」と言い、母親は「なってるやろ。なってないと困るし」と。
火葬場に向かう途中、俺は母親に「凄い坂やな」と言い、母親はうなずくだけ。
母親が俺に「ハンカチある?」と言い、俺は「ちゃんとあるで」と言い、昨日母親に借りたハンカチをポケットから引っ張り出した。
火葬場に到着。
俺は「骨になった親父、また写メ撮ろうか?」と言い、母親は「ここ、『撮影禁止』って書いてあるで」と。
その後、また焼香したんだっけかな。
うろ覚えだ。
「お箸を取ってください」と言われ、それぞれお箸を手に取った。
[5]続きを読む
02月25日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る