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リュカの日記
by リュカ
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学校から徒歩で帰るのは、今回で何回目くらいだろう。5回目くらいか。
正面から歩いてくるおっさんとすれ違う度、俺は身構えるような気持ちになった。
俺の中じゃ、おっさんという生き物は五分五分くらいの確率で、すれ違い様に咳かクシャミを吐きかけてくるという認識だから。
しばらく歩いているうちに、小柄な若者集団とすれ違う。
すれ違った後で、中学生の一団なのだという事に気づいた。
一人、やたらと高い声を出している子が居たので振り返ってみた。
すると、背の小さい少年が一人だけ混じっているのが見えた。
他の奴らがその子の頭に手をかけて「お仕置きするぞ」とほざいてた。
よく聞き取れなかったけど、その小さい少年は笑い声をあげているように聞こえた。
もしかしたら、声が高いから笑っているように聞こえただけで、本当は嫌がっていたのかもしれない・・・
ただ、その子が子供扱いされて、ふざけているだけだと良いんだけどな。
チラっとだけ、メッセの子もこんな容姿をしているのかな、と思った。
歩き続けている途中、左脇腹の下辺りがチクチクと痛み出した。肝臓だろうか。
地元に入った。
今じゃ殆ど外出しないが、8年くらい前まで俺がよく徘徊していた地域だ。
なので、自然に昔の事が思い出された。
そういえば、俺は昔から作文を書くのが好きだった。
その作文について、中学時代の話を一つ思い出した。
音楽祭?みたいなものがあり、それについて作文を書くのだ。
そして、生徒達が書いた作文は、全て後ろの掲示板に貼り出されていた。
クラスに一人、オタクっぽくて大人しい生徒が居た。
そいつは普通に冗談を言ったりするような人間だったのだが、そいつの作文。
『何故俺がこのような馬鹿どもと一緒になってこんな事をしなければならないのか。早く終わってくれという願いでいっぱいだった。愚かなこいつらの〜』といった感じの内容だった。
こんな内容であるにも関わらず、生徒達はそいつを吊るし上げたりする事もなく、「この作文すごいね〜」と言って笑っていた。
今だと「中二病」の一言で片付けられたりするんだろうけど、当時の俺にはそいつがそんな内容の作文を書いた事、それが他の生徒に混じって普通に掲示されてた事が驚きだった。
別にどうでもいい事だけど、それが何か印象に残ってて、歩きながらその出来事を思い出してた。
友達を作ったところで、自分の中の何も埋まらなかったし、満たされなかったし、慰めにもならなかった。
俺は当時から、友達なんかよりも自分を理解してくれるただ一人の恋人の存在を強く望んでいたのだと思う。
こういう書き方をすると、まるでそのショッキングな『作文』を書いたのが俺自身であり、それを第三者の事として語っているように聞こえてしまうが。
友達に望みを持っていなかったという事と、その作文を書いた奴の事は、それぞれ全く関係の無い別々の思い出話。
恋愛なんて、もう俺には一生縁の無い事なんだろうな。
でも、そうやって誰とも付き合わずに一生を終えるという事は、宗教的、または魂的には何かしら価値がある事になるらしいな。
色んな事を考えているうちに、だんだん家が見えてきた。
寒さと疲労と空腹で、既に頭は朦朧としている。
と、そこで、俺とすれ違ったおっさんが、すれ違う瞬間に俺に咳を吐きかけてきた。瞬間、俺は舌打ちをした。
そのおっさんがスーーーっと鼻で大きく息を吸い込み、こちらを振り返る気配がした。
「絡まれる!」と感じたのだろうか、俺は無意識にポケットからカッターを抜き、おっさんの方に向き直っていた。
目が合った後、おっさんはそのまま踵を返して歩いて行った。
まともな思考力が失われている感じになってた。
あのままおっさんが向かってきてたらどうなっていたのか。
自宅マンションに到着。
1時間ほど歩いていた事になる。
現在午後20時34分。
なんか欝っぽい・・・
漠然と辛い気持ちに満たされている。
今日も早めに寝ようと思う。
12月19日(水)
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