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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「女系家族」(京マチ子 名作映画まつり)
ただ今千日前国際シネマにて上映中の京マチ子特集で観てきました。年頭からの公開ラッシュで、現在大変なことになっている私の映画スケジュール。全部観たら二月いっぱいまで、毎週2〜3本観なくてはいけない計算です。仕事行って家事して感想書いて。絶対に無理!!!そんな時期に、何でこんな甘美でマニアな特集するかなぁと、ブツブツ文句言いながら、やっぱりフラフラ観てしました。何を隠そう、私は邦画史上で一番好きな女優さんは、京マチ子様なのですね。芳しくもエロティックな女の匂いを発散させながらも、はんなりと華やかで上品で、それでいて名コメディエンヌぶりもみせるなど、本当に素敵。この作品は山崎豊子原作で、何度もドラマ化された作品なので、内容は有名です。私も何度か観ました。しかし微妙な作り手の解釈の違いで、これだけ観た後の印象が変わるのだなぁと、ほとほと感じ入りました。今まで観た中で、一番怖くて超面白かったです。

大阪・船場で代々呉服商を営む「矢島商店」。矢島家は三代続いた女系で、娘に婿養子とり、商いを繁盛させていました。現当主嘉蔵の死去に伴い、長女藤代(京マチ子)次女千寿(鳳八千代)三女雛子(高田美和)の三姉妹、及び親族への遺産相続の遺言状が読み上げられます。それぞれが思惑を抱く三姉妹たち。しかし嘉蔵に七年面倒をみていた妾の文乃(若尾文子)の出現で、事態は思わぬ方向へ向かいます。

この作品は1963年の作品で、当時の大阪の様子をロケしたシーンが度々出てきます。これを観ると「三丁目」に描かれる当時の風景は、懐かしさを
素直に煽るため、少々建築物が美化されているように思いました。何しろ汚たなくて古い!それが広大で豪奢な家や、高価な着物に身を包む三姉妹とは対照的です。大番頭宇一(二代目中村鴈二郎)が、「何も仕事もせんと、贅沢ばっかりしくさって」と、三姉妹を陰で貶しますが、生まれついた家でこれほど暮らしに差が出ると、そら恨みごとの一つ(いっぱい言ってたけど)も、言いたなりまっせ。何か今の時代と似ているような。

船場の大店は特殊なところで、娘ばかり生まれると、昔は落胆する方が多かったでしょうが、娘と優秀な番頭を結婚させて店を継がせると、血筋と常に新しい商売の才覚が引き継がれると、返って喜ばれたと何かで読んだ記憶があります。雷蔵の「ぼんち」でも、「何であの子は女の子やなかったんやろ・・・」と、祖母と実母から出来そこない扱いされていましたし、「夫婦善哉」でも、放蕩息子の柳吉は廃嫡され、妹に婿養子が取られていました。

今まで観た中では、女の「いけずさ」の描き方は、この作品がダントツです。欲の皮をつっぱらさせながらの丁々発止のやり取りは、本音一本やりで、「京のぶぶづけ」のような立て前など全く無く、凄まじいです。一番若い雛子は、若いだけに一番心が清らかで、姉2人とは違うのですが、後見人としてしゃしゃり出る叔母(姉妹の実母の妹)を演じるのが、あの浪速千栄子なので、雛子100人分以上の迫力です。う〜ん、船場のいとはん(お嬢様)とは言え、やっぱり大阪の女。私はネチネチした意地悪は大嫌いなので、観ていてとっても楽しめました。格式こそ高いでしょうが、一皮むけば傲慢さと気位の高さが災いして、庶民のような暖かさが全くありません。お金の怖さも感じさせます。

私がびっくりしたのは、嘉蔵の子を妊娠している文乃を、長女・次女・叔母で取り囲み、押さえつけて内診させる様子です。こんなけえげつないシーンは、他の作品では観た記憶がありません。あぁびっくりした。文乃が「あんたら、それでも船場の嬢さんですか!」と泣きながら訴えますが、さもありなん。


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01月20日(日)
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