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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「さざなみ」
「眺めの〜」の方は、子供が出来ない事で、妻が泣いたリ騒いだりしたのを、夫が受け止め慰める。夫は夫で、黒人である事は妻には社会的に厳しく、教師と言う職業に支障もきたした事を知っているはず。妻は常にその事で夫を庇っていたでしょう。そうやって夫婦の絆を育んできたはず。対するこちらは、夫は現役時代大手の会社で組合活動も盛んだったようで、労働者階級の勇だったのを匂わせている。田舎の下町で教師をしていた妻とは、お似合いです。だからこそ、子供がいたら完璧だったのに、との思いが拭えなかったのでしょう。

この作品で、ランプリングは初のオスカーノミニーでした。彼女ほどの大物がとても意外でした。いつまでもお洒落でチャーミングなダイアン・キートン、、気風の良い艶やかさを見せるヘレン・ミレンなど、この年齢でこそ出せる女の華やかさを持続させる中、同年代のランプリングはどうでしょう?

劇場に彼女の年表と若き日のポートレートの数々が掲げれれていました。奥様とご一緒の年配男性が、「全然違うな」とびっくりされていました。若き日の彼女は、冷たく気品のある美貌は謎めいていて、一種凄みがあり、それはそれは綺麗な人でした。それが今はもう、すっかりお婆さんで、現役の女はとうに辞めた風情です。そのランプリングが、女の残り火を明々と燃やす様子は、灰になるまで女って、こういう事なのかと、深いため息を尽かせます。だって私も行く道だもん。


ジェフの感謝のスピーチは本心ですよ。ジェフが満面の笑みを湛え高らかに上げた繋いだ手を、ケイトは険しい顔で下していたけど、時が解決しますよ。どんなに穏やかに見える夫婦にだって、山あり谷ありあったはず。そうやって乗り越えてきたんだもの。ただしこの夫婦には時間がもう少ない。一緒にスイスに行かないか?と、ジェフはケイトを誘ってくれないかなぁ。ケイトは行かないでしょうけど、ちょっとは機嫌が直るでしょう

04月23日(土)
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