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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「少年メリケンサック」
他にも胡散臭くも存在感大のピエール瀧(チャーミング!)扮する音楽プロデューサーの、バンドの人気作りの裏側のノウハウなど、これは実際にもあるんだと思いました。その他の出演者も、田口トモロヲ、ユースケ・サンタマリアも、今では俳優の印象が強いですが、元はバンド出身者だというのをわかっての起用だと思います。
しかし!それをですね、いいセリフだなぁ、いいシーンだなぁと思うと、確信犯的に外して、絶対感動させないわけです。この間の取り方が、私にはクドカンの「照れ」に感じられて微笑ましかったです。わかる人だけわかればいいという、上から目線じゃなくて、気付かれたこっ恥ずかしいので、スルーして下さいみたいな。あぁ可愛いわ。なので汚物や下ネタまみれの連続シーン、田口トモロヲの涙(必見!)、失意のカンナをの傷口を更に拡大するような囃し立て方をするおっさん達のバカバカしい様子に大笑いしつつも、本当は大人に成りきれないのではなく、大人になってしまったのを自覚している中年男たちの、寂しさや哀愁も、同時に感じてしまいました。
宮崎あおいが絶品。今年早々の作品ですが、是非今年の主演女優賞に覚えておきたいです。オーバーアクトも全然暑苦しくなく、絶妙のコメディエンヌぶりです。ガーリーなファッションもとっても可愛いんですよ。辛いことしんどいこと、悩むこと、みっともないことから逃げまくっている、可愛いけど幼稚な彼女。今時の若い子だと感じさせます。仕事だけではなく彼氏との事も。しかし全然立派ではないおっさん達の世話をして「育てて」行く事で触発されるのです。彼女自身も逃げていた事柄に、否応なしに立ち向かわされ責任を負わされ、世の中の厳しさも責任と言う言葉の意味も知ります。一皮も二皮もむけて成長していくカンナの姿は、ダメ親父を矯正していく娘のようです。
私が好きだったセリフは、アキオの「若い時は大人にみっともねぇって言われて、今はガキどもにみっともねぇって言われてんだから、ずっとみっともなくていいじゃねぇか」というセリフ。社長に喰ってかかるシーンや、カンナの彼を評しての核心をついたセリフなど、やはり50男ならではの鋭い含蓄があります。しかし洞察力があっても、それが自分の人生に反映されているとは言い難いわけ。この辺は自分にも思い当たるので、ぐっときました。哀しいかな、そうなのよ。わかっちゃいるけど、ダメなんだなぁ。そしてずっとみっともなくていいと言い切れるのが、男の強さだと思う。こう言う時私は「腐っても男は男」だなぁと感じます。
ドラムのヤング(三宅弘城)が、「頑張ってやろうよ!今しかないんだから。来年は死んでるかもしれないだよ!」というセリフは、レイジーのメンバーが、50前後で既に二人亡くなっているのを知っているので、しんみりしました。が、そこで田口トモロヲのセックス・ピストルズ再結成の件で脱力&爆笑。一瞬えっ、シド・ビシャス死んでるじゃんと思いましたが、オリジナルメンバーでってことなんだって。「結局金だね」という結論で、また爆笑。そうそう、中年てお金要るんですよ。中年と若者の間に位置する年齢のクドカン、両方に理解を示して、彼なりの「悪ふざけ」でエールを送っている作品でした。
03月01日(日)
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