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龍神様のささやき
by 龍
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■啐啄同時(そつたくどうじ)
「啐啄同時」という言葉がございます。これは坐禅によって悩みを無くして行こうと説く禅宗の言葉になるのですが、その意味はというと、鳥の雛が卵からかえる時、殻の中から卵をつついて合図する事を「啐(そつ)」と言います。それと同時に、親鳥が外から殻をかいつばんで破る事を「啄(たく)」と言います。
この「啐」と「啄」が同時であってはじめて雛は生まれて来ますが、親鳥のつつくタイミングが早すぎては、卵の中の雛は成長しきれていませんし、遅くても窒息してしまいますので、そのタイミングは同時でなければいけません。
そして、これは親子・上司と部下・友人といった人との関係においても当てはまるものがございます。
以前に見たテレビでこんなシーンがありました。
小さな子供が「ママ、これ見て!」とお母さんを描いた似顔絵を持ってきたものの、お母さんはというとテレビに夢中で子供に対して見向きもしないまま・・・といったひとコマでした。
さらに、テレビを見終わった後はメールをされ、子供が描いてくれた絵に対しては関心を示さないままです。
また、先日とある方の話を聞いた時の事です。
その方は植木に水をあげる際、「元気に育てよ、大きくなれよ」と声をかけるそうで、そうすると枯れかけてしまった草花でもまた元気を取り戻すそうです。
しかし最近の若いお母さんの中には、授乳中の赤ちゃんの目や顔を見て、「大きく元気に育ってね」と思いを込めておっぱいをあげるのではなく、メールをしていたり、テレビを見ていたりといった方が増えていると話されていました。
そういった、「いるのにいない」お父さんやお母さんがいる事で、子供も周りとのコミュニケーションが上手くとれず、近年の事件などに大きく影響しているように感じますが、上記の似顔絵のお話についても、「上手に書けたね、ありがとう。ママうれしいよ」と返してあげる事が、親子にとっての啐啄同時になるのではないでしょうか。
改めて、そういった事は親子の関係以外にも、上司と部下、恋人や友人といった間柄にも通じるものがある。
上司の希望や要望に応えられる部下であったり、あるいは彼が求める女性になる事で、相手に癒しや安らぎを与える存在になれるといった面もございますが、今回のお言葉を通して、そういった部分に今一度目を向けて頂くキッカケとなれば幸いです。
03月15日(日)
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