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龍神様のささやき
by 龍
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■月や海の満ち引き
突然ではございますが、皆さんは、日蓮(にちれん)というお坊様をご存知でしょうか。歴史の教科書にも出てくる有名なお坊様ですので、知っている方も多いかと思います。今日は、そのお坊様の言葉をお伝えさせて頂きたいと思います。


『月は欠けて満ち、潮は干いて満つこと疑いなし。これも罰あり、かならず徳あるべし。なにしにか嘆かん。』


今回お伝えしたお言葉は、日蓮上人がある信者から頂いた手紙のお返事に書かれた言葉となります。ちなみに「上人(しょうにん)」とは、徳の高いお坊様の事を言います。

日蓮上人が50歳の時、時の鎌倉幕府は上人を逮捕して死罪の判決を言い渡しました。上人は処刑されかけますが、その時、刀が折れるという不思議な現象が起こり刑の執行は中止となりました。
処刑はまぬがれたものの、その結果今の新潟県の佐渡島に流される事になってしまいました。「島流し」と言えば、当時としてはとても重い刑でしたが、それでも生と死のわかれ目を歩まれた上人は、上記の言葉を信者の方に伝えたと言われています。

その意味は文字通り、月は欠けたり満ちたりするし、海も同じように、満潮の時もあれば干潮の時もある。そのように一定しないものである。
その中で、今回は罪を受けて流されてしまうけれど、悪い事があれば良い事もあるので、嘆んだり悲しんだりする事は何も無い・・・、という意味が込められた言葉となります。

人は誰しも、起こる物事に対して気持ちが不安定になったり、心が上下してしまいやすいものです。しかし、月も海も一定ではなく満ち干きがあるものだから、イタズラに一喜一憂してはならない、という意味も含まれております。

月が満ちている満月は綺麗ですが、欠けた三日月もまた美しく、夜空に映えるものです。人生においても良い時、悪い時。なかなか難しい面がございますが、どちらになってもその状況を楽しめる位、大らかな心の余裕とゆとりと持ちたいものですね。
06月10日(日)
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