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うららか雑記帳
by 浜月まお
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■自作語りその5


【ありあけ幻奇譚】

先日の100題語りで触れたように、この物語は『ファンタジースキーさんに100のお題』から自然発生した派生シリーズです。
発端は『最初の冒険』というお題。
単発読み切りのつもりで書いたものの、なんとなく続きのイメージが頭に浮かび、読者様のあたたかいご要望などもいただいたことから、調子に乗って後日続編を書いたのです。
それが『堕ちた聖域』。
書いてみたら、何やらまたもやお話が続いていく雰囲気ではありませんか。
検討した結果、思い切って新しいシリーズを立ち上げること相成りました。

そこで必要になってくるのが作品名です。
怨霊や妖かしの存在する世界、和風ファンタジー独特の霞がかかったような空気。人と人妖、封じの旅。
タイトルをつけるのが苦手な私は、例によって相当悩みました。ありもしないセンスを発揮しようと四苦八苦し、たどりついた結論が、これ。

──月の沈まぬ夜明けの、幻に似た、奇異なる、はなし。

太陽と月は、葛葉の持つ鉄扇の絵柄としても出てきます。
交代で天上に現れる昼と夜の象徴……それらが空を共有する、ほんのひととき。その刹那。
解き放たれた猛毒の怨霊を封印するために旅立った、人妖の女と人間の男。
異なる流れの中で生きていた者たちの道が交わる時。
絢爛豪華な宮廷文化が花開いた平安時代、野山の只中ではもしかしたらこんな悲喜こもごもが巻き起こっていたかもしれません。
イメージばかりが先走ってしまってて若干お恥ずかしいですけれども。

お題に沿って話が進んでいくこのシリーズ、お題のフレーズ如何では微妙な展開になりかねないのが少々不安なところですね。
でも書いていて楽しいです。
もともと式神や鬼神といった和モノが好きでしたし、日頃あまり縁のないアクション要素もあって。
私の作品の中ではこれが一番好き、というお声もいただいたことがあります。



以下、名前の由来などです。

葛葉(くずは)
安倍晴明の母と言われる白狐・葛の葉から。

清白(せいはく)
今はまだ伏せさせてください。

白蔵大主(はくぞうだいしゅ)
白蔵主(はくぞうす)という狐の妖怪から。

刑部姫(おさかべひめ)
姫路城に隠れ住むといわれる妖怪から。

雲取(くもとり)
(1)奥秩父にある雲取山。
(2)熊野那智大社と熊野本宮大社とを結ぶ参詣道から。

立花(りっか/たちばな)
音読みと訓読み、両方できる名前ということでチョイス。

阿古耶(あこや)
松の木の化身と夫婦になったという伝承の姫君から。

蜂ノ羽衣(すがるのはごろも)
ニギヤハヒノミコトが伝えたとされる十種の神宝のひとつ・蜂比礼(はちのひれ)から。

蛇ノ紗布(おろちのひれ)
ニギヤハヒノミコトが伝えたとされる十種の神宝のひとつ・蛇比礼(おろちのひれ)から。
09月29日(月)
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