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うららか雑記帳
by 浜月まお
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■遙か3プレイレポNo.21:鵯越と涙
『移りゆく 雲に嵐の声すなり 散るか正木の 葛城の山』
冒頭で後白河院が口にした和歌です。出典を調べてみたら、作者は飛鳥井(藤原)雅経という鎌倉時代前期の公家で、新古今和歌集の撰者でもあるのだそうな。
歌の意味は『葛城山を見わたせば、嵐に吹かれ、雲が移動してゆく。その雲の中から、激しい風の音が聞えてくる。この嵐で、美しく紅葉していた正木の葛は、散るのであろうか』。
風雲急を告げる時代の風に吹かれ、揚羽蝶(平家)はどこへ流されてゆくのか。それとも策謀の網に捕らえられ、ここで散ってしまうのか──というように、偽りの和議に起因する不穏な雲行きを現しているのでしょうね。
ちなみに、この飛鳥井雅経の父親にあたる頼経という人は、歴史上、源義経と関わりがあったようです。源義経との親交に責を負って安房国に流され、後にゆるされて帰京しますが、今度は伊豆に流されてしまったのだとか。十代だった雅経は処分を免れたのですが、京を去って鎌倉に下向した、とのこと。
さらにちなみに、ヒノエ君が間章で、吉野の里のさびれた様子を見て「『ふるさと寒く 衣うつなり』って感じだね」と言いましたが、これも出典は飛鳥井雅経の歌でした。『み吉野の 山の秋風 小夜(さよ)ふけて ふるさと寒く 衣うつなり』が元ですね。調べて初めて知りましたよ、こういうの。
遙か3は随所に漢詩や和歌、神話とか歴史ネタが盛り込まれていて、そういうところも色々チェックしていくと楽しいです。
ゲームとは関係ないですが、吉野といえば桜が有名。一度は行ってみたい土地だなあ。
熊野から戻った一行のもとへ、1周目と同じように北条政子が卑劣な命令を携えてやって来ました。
偽りの和議。
まったくもって承伏しかねる命令なのですが、どうやらこの流れは変えられないようですね。九郎さんの苦渋の表情が胸に痛いです。
頼朝の人でなしー!
一方、平家側。
還内府こと将臣君をはじめ、一族の主立った面々が一連の情勢について相談していました。
還内府:一ノ谷の防備を固めろ
二位ノ尼:それでは事を構える気だと思われてしまうのでは?
知盛:いっそ使者を斬ってそのまま京へ攻め上がってもいいぜ
経正:和議はどうなるのです?
忠度:平家の正面の陣は生田、生田の陣容を充実させるべきだろう!
あらら、揉めてる揉めてる。
不意に持ち上がった和議の話に対して、誰もが期待と警戒が入り混じったような複雑な思いを抱いているのでしょう。
中でも、将臣君はひときわ懐疑的な態度でした。彼が元いた世界の歴史では、平家は一ノ谷で義経の奇襲を受け、西へ西へと敗走しています。やがて行き着く先は平家滅亡の地・壇ノ浦──。
そのことが頭にあるから、将臣君は防備を固めることを主張するのですね。吉野の里を守れなかったことも影響しているのかもしれません。
意見がまとまる気配はなかったのですが、そこへ怨霊となって黄泉帰った平清盛が現れまして、彼の鶴の一声で将臣君の考えが尊重されることになりました。
清盛……ラスボス的な存在なのでしょうけれども、童子姿のせいか衣装のせいか、ファンシーな妖精さんのように見えるんで困ります。可愛いじゃないかー(笑)
平家を奇襲する決心をしかねている間、今度はヒノエ君とお話しました。
1周目は九郎さんを選んだけど、ここでヒノエ君とお話をすると、京に彼のアジトがあることを教えてくれるんですよね。
それにヒノエ君ってシビアな物の見方をするから、いま置かれている状況について一歩下がった冷静な意見をくれそうです。
ヒノエ君いわく、「政子は頼朝が信頼しているたった一人の人間」。うーむ。九郎さんが聞いたらショックだぞ、これは。
源氏の総大将・源頼朝。その正室・北条政子……。冷徹な頼朝がただ一人だけ信を置く者、か。政子が終盤のキィになりそうな予感。
それにしても、熊野の人間であるヒノエ君が、どうしてそんなことを知っているのでしょうか。鎌倉の内部にも熊野の密偵が潜り込んでいるってことかな?
と思ったら、どうやら自分で直接いろいろ動いているようです。春には京にいたんだそうな。
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04月12日(土)
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