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うららか雑記帳
by 浜月まお
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■『遙かなる時空の中で』14巻

白泉社から出ている水野十子さんのネオロマ漫画、最新刊がようやく発売されていることに気づいて本屋さんに行ってきました。
以下、ネタバレというほどではないけど未読の方はご注意を。





反転>>

表紙。前巻までは主人公であるあかね&八葉のうち一人、という組み合わせがおなじみだったんですけど、今回は見たことのない男性が描かれていて不思議な感じがしました。髪の色といい泣きぼくろといい……アンタ誰?な状態です。
最後まで読んだら判明しました。この巻には特別編が収録されていまして、そのメインキャラ・多李史(おおの・すえふみ)ですね。舞の天才青年。

少女漫画らしい口絵と扉絵を堪能しつつ、いよいよ本編へ。
前巻で、宿敵アクラムの仕掛けた呪詛によって八葉との絆を断たれてしまったあかね。目覚めた八葉の皆はあかねに関する記憶がすっかり抜け落ちて、あかねへの想いや八葉同士の間に育まれていた信頼も消え失せてしまっています。

頼久「この土御門では見ない顔だな。どこかの使いの者か?」
永泉「どこかでお会いしたのでしょうか?」
泰明「神子であること以外、知らぬ」
友雅「その『八葉』とは私のことか?」

──人には、生命を奪われるのと同等の、苦しい喪失がある──

よ、頼久さーん!! そんな、犬でも追い払うみたいに扱わなくても……!(泣)
これってゲーム中にあった『心のかけらをなくした状態』の代替エピソードなんだろうなぁ。つらいよー。
京に呼び寄せられる前からもともと友人だった天真君と詩紋君は、かろうじてあかねの存在を記憶していてくれるとはいえ、八葉の自覚も神力もなくして皆はバラバラで、これは連載始まって以来のピンチかも。
「神子って呼ばれて、大事にされて。なのに私、役に立てなかったね」のシーンが切ないです。

でもさすがはあかねちゃん、踏ん張ってくれますね。京のためにも呪詛を解除して、アクラムにデコピンしちゃるーと息巻いてます。逆境にめげないファイトです。藤姫やイクティダールの助力もあり、実に頑張ってます。
八葉が呪詛された今、神子は残された唯一の希望。「その身柄を内裏に」という命令を容れず、神子だからこそ一人で行動を起こしたあかねちゃんに拍手喝采です。
無謀かもしれないけど、それでもとても共感できる。いいですね、こういうの。これでこそ主人公だ!

そんな中、あかねの独白「天真くんとは今みたいなのがいい」という心境に注目です。
変に意識してお互い気まずい状態になるよりも、軽口を言い合えるような普通の友人関係のほうが……って、ちょっと待った。それは天真君がラブ路線から脱落したってことか!?
おまけページで『今はあかねの恋愛モード・一直線で頑張ってます』という作者さんのコメントと併せると、今後の展開が大いに気になります。もう物語も佳境っぽいしね。

一方、イクティダールのセリさんへの想いは、切ないけど分かる気がします。
相手のことが大切で、愛しくて、だからこそ一緒にはいられないっていう。どっちかっていうと男性サイドの感情なのかな。

特別編。
これは友雅さんが20歳だから、あかねちゃんが来る10年前のお話ですか。友雅さん、今とあんまり変わらないじゃない(笑)
この特別編のみ出演の専門馬鹿(ひどい)李史をはじめ、八葉や周辺キャラの若い姿を拝めて、なんとなくお得気分を味わえるお話でした。内容は物悲しいんですけどね。李史さん、あんな結末になってしまうとは……。
頼久さんのお兄さん、また出番があるとは思ってなかったので嬉しかったです♪
その隣にいる15歳の頼久さんにもウッハウハ。若武者です。それにしても髪、ざんばらじゃないですねぇ。お兄さんと25歳の頼久さんを並べて考えると、どうやら源の血筋は20歳くらいから髪質が変わるらしい(笑)
ちび永泉も可愛らしくてたまりません。漫画版の彼、好きなんですよ〜。共感できるところが多くて。余白部分の『遙かで「白鳥の湖」』、ジークフリード王子が似合ってますよね。

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11月29日(木)
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